正直なところ、読み終わったあとのこの気持ちをどう表現したらいいのか、わからない。

かいぶつは醜い。
あんまり醜いので、どうぶつも鳥も逃げ出し、花は枯れ、草木も立ち枯れ、土地は荒涼となる。

かいぶつは寂しかった。

だから、石で動物を掘ってみた。

かいぶつから逃げる動物の背中しか見たことがなかったので、石の動物たちに顔はない。
けれどもかいぶつは嬉しかった。
嬉しかったから笑った。

……石で作った動物は皆、壊れてしまった。
かいぶつが笑ったから。

たったひとつ、うさぎの石だけは壊れなかった。
かいぶつは、荒涼とした風景の中、石のうさぎと暮らした。
けっして石のうさぎは、かいぶつの話しかけに応えたりはしなかったけれども。
それでもかいぶつは1人ではなかったのだ。

やがて、かいぶつは年老い、やがて死んだ。
石のうさぎだけが残った。
荒れ果てた大地に、緑が、草が、木が、花が萌え、動物も鳥も魚も戻ってきた。
その土地を訪れた人にはわからないだろう、
なぜここに、石のうさぎがひっそりとあるのかが。


そう言うストーリーだ。

泣いていいのか、
笑っていいのか、
わからない。
思い出すと、胸が締め付けられて、涙がうかんでくる。

じわじわと、ひとりぼっちのかいぶつの寂しさが染み通ってきて、そして残酷な運命の仕打ちに気持ちがざわざわして、

自分の感情をまとめられないので、はー子とひよ子にも読めない。

この感情は、「しずかな感動」ではないと思う。
姿の醜さと、心の美しさは違う、と言うことを言いたいストーリーなのだとしたら、あまりにもかいぶつがかわいそうだ。
石のうさぎがいたから、かいぶつはかわいそうではなかったのだろうか。
たったひとつの石のうさぎだけが、かいぶつの心の美しさをわかっていたのだろうか。

かいぶつが生きているうちに、花が咲いたらよかったのに、と、かいぶつが死んだあとの風景を見て思う。

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