「私の男」

2008年3月20日 読書
いろんな意味で、衝撃的な。

主人公、腐野(くさりの)花は養父と、男と女の関係にある。
物語は、花が、婚約者と養父と三人で食事をするために、養父と待ち合わせるシーンから始まる。

少しずつ物語は過去へと遡ってゆく。

ねばついた血の匂い、
寒い乾いた冬の雪と海の匂い、
暖房のきいたむっとする部屋の匂い、
幼い粘液の匂い、
かさついた皮膚の匂い、
秘密と罪の匂い。

そんなものが入り交じって、行間から立ちのぼってくるようだ。

花と養父の関係が読者の前にあらわになり、罪の深さが見えてくると、彼らの救いのなさに息が詰まる。

嫌悪と、憐憫と、それ以外のもっと深い何かを抱えながら、その本は終わる。

ISBN:4163264302 単行本 桜庭 一樹 文藝春秋 2007/10/30 ¥1,550

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