野中柊はエッセイでしか読んだことなかった。

う〜ん、ポンポンかわいい。
野中柊の選ぶ言葉が、とても繊細で可愛らしい。
子供向けということもあるのだろうけども、読んでいて、長いこと子供向けのお話を書いている作家が使わない表現がポロンと出てきて、私はとても好きだ。

ポンポンはパンダのコックさん。
クジャクのジャッキーがオーナーをつとめるレストラン「きら星亭」でおいしい料理を作る。
食べることと作ることが大好きな、パンダのポンポン。

そうそう、食べることって楽しいよね!

私は子供の頃本当に偏食が酷くて、給食は試練の時間だった。
肉が食べられない。
脂っこいものが食べられない。
どうやって残そうか、どうすると怒られずに残せるか、そればっかり考えていた。
「あたまがいたいのでのこしてもいいですか」
「はがいたいのでのこしてもいいですか」
「きもちわるいのでのこしてもいいですか」
そのローテーションで最悪の時間を終わらせていた。
もちろん、おなかはすいてたし、食べられるものはぱくぱくと食べてしまって、食べられないものと格闘していたのだが、どうしたって食べられないものは食べられないのだ。

そんな私の楽しみは、「本の中のおいしそうな部分を読むこと」
そう意識しながら読んでいたわけではないけど、強く記憶に残っていた所を見ると、やはり気持ちが飢えていたのだと思う。
おいしいものを、おいしいと思いながら、好きなだけ食べられるということに。

どうやって残そうかと考えながら、今一口この肉を食べたから、大きさでいくと、あと10口食べれば、これは食べきれる。はず。
と考えながら、いつまでも飲み込めないものを必死の思いで噛んでいた、あの給食の時間は、やっぱりつらかった。

そのつらさを埋めるために、おいしそうな本を読むと、引き込まれていたのだと思う。

パンダのポンポンシリーズが、そんな私の小学生の頃にあったらなあ!
どんなにか幸せだったろう!

ところで、前にも書いたと思うけど、大人になってから私は肉が食べられるようになった。
それは栗本薫の「グルメを殺す十の方法」のおかげだ。本当においしそうだったのだ、お肉の描写が。

だから、あの頃の栗本薫の本は、私にとってはバイブルだったりする。
あの頃の、はね。

ISBN:4652007450 単行本 野中柊 長崎 訓子 理論社 2005/04 ¥1,260

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