「しらぎくさんのどんぐりパン」
2008年2月4日 読書
子供は容易に、異界への道を見つける。
しらぎくさんの家へと続く道は、白い貝殻をたどると見つかる。
ただ、それがいつも開かれている訳ではない。
異界へと容易に辿り着ける子供たちであっても。
しらぎくさんは、小さな、白い髪をしたおばあさんだ。
しらぎくさんのところにあるのは、行く先が見つかるものを待っている「もの」たち。
古いものには、なにか、力があるような気がする。
子供にとって、新しいものばかりの中で成長するのは、実はあんまりよくないのではないか、という気が、私はしている。
適度に古いものが混じった街で、町で、時間や人の手を経てまろやかになったものを感じながら大きくなるのがいいんじゃないだろうか。
山や森をを切り開いて作った新興住宅地には、古いものが無い。
10年、20年経てば、新しかったものは古いものへと変わり、街は落ち着いていく。
適度に新陳代謝を起こしながら、古いもの新しいもの取り混ぜた世界が、必要だと、思う。
古いものばかりだと、淀むから。
(うんと古くなってしまえば、淀まないのはなぜだろう)
どんぐりパンは、しらぎくさんが秋にどんぐりを拾って、粉にして作ったどんぐりのパン。
少し甘くて、少し苦い。
しらぎくさんの家から出てしまったどんぐりパンは、どんぐりに戻ってしまう。
異界での食べ物は、異界でしか食べられない。
子供向けのファンタジーは、異界と現実の境界線がとてもはっきりしている。
ある手順を踏み、ここからここまでは存在できる、と言う線がしっかり引かれる。
それを読むことで、読み手も登場人物と一緒に、「異界」へと辿り着けるのだ。
中川 李枝子の「おひさまはらっぱ」でも、しげるとうさぎのギックが一緒に遊べるのは、二人だけの時だ。
しげるの友達がおひさまはらっぱへやってくる声がすると、いつのまにかギックはいなくなる。
ギックと一緒に雪かきをして、雪だるまと遊ぶ時、象徴的なのは雪のトンネルとを通らねばギックにも会えないし、家にも戻れないことだ。
しらぎくさんの家に行くには、しげるの雪のトンネルのように、白い貝殻がしかれた小道を行かねばならない。
もしかしたら、明日、散歩の途中の草むらの細い道に、白い貝殻がしかれているかもしれないよ。
ISBN:4652007469 単行本 なかがわ ちひろ 理論社 2005/05 ¥1,260
しらぎくさんの家へと続く道は、白い貝殻をたどると見つかる。
ただ、それがいつも開かれている訳ではない。
異界へと容易に辿り着ける子供たちであっても。
しらぎくさんは、小さな、白い髪をしたおばあさんだ。
しらぎくさんのところにあるのは、行く先が見つかるものを待っている「もの」たち。
古いものには、なにか、力があるような気がする。
子供にとって、新しいものばかりの中で成長するのは、実はあんまりよくないのではないか、という気が、私はしている。
適度に古いものが混じった街で、町で、時間や人の手を経てまろやかになったものを感じながら大きくなるのがいいんじゃないだろうか。
山や森をを切り開いて作った新興住宅地には、古いものが無い。
10年、20年経てば、新しかったものは古いものへと変わり、街は落ち着いていく。
適度に新陳代謝を起こしながら、古いもの新しいもの取り混ぜた世界が、必要だと、思う。
古いものばかりだと、淀むから。
(うんと古くなってしまえば、淀まないのはなぜだろう)
どんぐりパンは、しらぎくさんが秋にどんぐりを拾って、粉にして作ったどんぐりのパン。
少し甘くて、少し苦い。
しらぎくさんの家から出てしまったどんぐりパンは、どんぐりに戻ってしまう。
異界での食べ物は、異界でしか食べられない。
子供向けのファンタジーは、異界と現実の境界線がとてもはっきりしている。
ある手順を踏み、ここからここまでは存在できる、と言う線がしっかり引かれる。
それを読むことで、読み手も登場人物と一緒に、「異界」へと辿り着けるのだ。
中川 李枝子の「おひさまはらっぱ」でも、しげるとうさぎのギックが一緒に遊べるのは、二人だけの時だ。
しげるの友達がおひさまはらっぱへやってくる声がすると、いつのまにかギックはいなくなる。
ギックと一緒に雪かきをして、雪だるまと遊ぶ時、象徴的なのは雪のトンネルとを通らねばギックにも会えないし、家にも戻れないことだ。
しらぎくさんの家に行くには、しげるの雪のトンネルのように、白い貝殻がしかれた小道を行かねばならない。
もしかしたら、明日、散歩の途中の草むらの細い道に、白い貝殻がしかれているかもしれないよ。
ISBN:4652007469 単行本 なかがわ ちひろ 理論社 2005/05 ¥1,260
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