著者は、日本の、子供たちの生気のない表情と言ったらどうだろう、と嘆く。

物は当たり前に与えられ、欲しい物は手に入り、「幼い万能感」に0歳児から支配されて大きくなってゆく子供たち。

これほどまでにいじめが、
引きこもりが、
自傷が、
自死が、
殺人が、
子供たちに、青年に、大人に、
蔓延しているのはどうしてだろう。

普通に育て、子供たちを愛し、可愛がり、望みを叶えてやり、大切に大切に育てた子が、どうして死を選んでしまうのか。

著者は、逃げ場のない母子密着が、子供の生きる力、気力を奪っている、と説いている。

0歳児からの、密着しきった母乳育児に始まり、
泣いたら抱っこ、
泣いたらおっぱい、
夜も添い寝、
2歳過ぎてもおっぱいを吸っている子供なんてざら、
そうして手の付けられない、手がかかる子供が育つ。

大きくなればおもちゃも多分に買い与えられ、我慢することを知らず、幼い万能感を持ち続けたまま、他の子供とのコミュニケーション能力を培わずに育ってゆく。
コレが問題!

昔は、母乳を与えることも、添い寝も、忙しくほとんど子供に目がいかなかった母親たちには、唯一子供たちとの身体的に触れ合える時間だった。
子供たちはその幸せな記憶を、早いうちからの労働や、手伝いや、厳しい社会へ出てゆくことの支えにした。

今は違う。
母親は労働力として数えられるわけではなく、
家事は体力を使う労働の合間に片手間にやってしまう物ではなく、
楽になり、
子供にすべての目がいくようになった。

そう、著者は言う。


こう言う本を読む人って、まあ私も含めて、真面目な人だと思うのだがどうだろう。
前にも思ったけど、じゃあどうしたらいいの? と思わせてそのまま放置、と言う感じの書き方をする人が多い。

こうしなさああしなさいと言われたいわけでは勿論ないけれど、危機感だけつのらせて、問題提起しておしまいかよ、不安にさせて、私の子育て間違ってた(る)の? 0歳からの積み重ねでダメなら、もう取り返しがつかないと思うけど! どうすんの? と、自信をなくしてしまってはどうしようもないので、真面目な人にはお勧めしません。

でも確かに思い当たる節はあって、頷ける本ではあるのです。

ISBN:4582853609 新書 田中 喜美子 平凡社 2007/02 ¥735

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