「裏庭 」

2008年1月5日 読書
「りかさん」でもそうだったけれど、梨木香歩の描くお話の中では、「おばあちゃん」あるいは「おじいちゃん」が重要なキーパーソンだ。

はー子もひよ子も、父方も母方も祖母祖父と暮らした経験はない。
私の祖母は明治生まれの、非常に厳しい人で、幼い頃から頭を押さえつけられるような気持ちを感じながら過ごしていた。
田舎の常で、母は外に出て働き、父とともに経済を担い、幼い子供たちの面倒は祖母が見た。
6歳離れた妹は、あまり祖母の影響を受けなかったようだが、私と弟は、祖母の影響をつよく受けた。

厳しく、性格も激しい祖母だったが、可愛がられなかったわけではなかったという思い出は残っている。

1996年に発行された「裏庭」は、私の記憶に残る、「郷里の」「幼少期の思い出の」「懐かしい匂い」を思い出させる。

たった12年前は、こんな世界が普通だったのだろうか。
それとも私がなくしてしまっただけで、子供たちの世界はまだこう言う、ちゃんと古いものが残っている世界なんだろうか。

「裏庭」は、知恵遅れ(原文ママ)のふたごの弟を亡くしてしまった小学生、照美の精神的な成長の冒険物語だ。

照美が最後に得るものは、「私は親の役に立たなくてもいいんだ」と言う、精神的な開放感である。

ふたごの弟の面倒を見ていた時は、照美がいるから助かるわ、と言う言葉がもらえた。
しかし、弟の純が死んでしまってからは、ママもパパも、経営するレストランにかかりきりで、照美と夕食をともにすることもない。
自分は役に立たないから、レストランの手伝いをすることも出来ない、と、親のところへ行くことも出来ない。

この本は(たぶん「西の魔女が死んだ」も)、読むべき時と言うのがあって、それは
大人になってからではない。
女の子が子供(小学生)のうちに読むべき本と言うのがあるとしたら、それは梨木香歩の本と、高楼方子の本だ。
私が子供の頃に、こう言うお話を書く人がいたらなあ!

ISBN:4652011261 単行本 梨木 香歩 理論社 1996/11 ¥1,575

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