こう言う、小説の中の料理を抜き出して、レシピと写真が載っている本と言うのが大好き。

料理のレシピを読むと言うのは私の秘かな楽しみで、けっして料理は得意ではないのだが、読み物として楽しいと思う。
だから本の中の食事のシーンが大好きだし、食べているものの描写はあればある程よい。
実は酒を飲むシーンも好きで、ジョン・J・マローンを代表とする大酒飲みが闊歩するクレイグ・ライスの一連の作品は大の大好きだ。

この、「アガサ・クリスティーの晩餐会」を読んでいると、現代の食事と言うものがずいぶんと手間のかからない、簡素なものに思えてくる。

上流階級に属する家庭は、みんな料理人を雇っていたのだろうし(話は変わるがハリー・クレッシングの「料理人」は料理サイコホラーとして秀逸)、料理人のプライドをかけて美味しいものを作っていたに違いない。
前日から仕込むことで出来上がる料理もあり、「こりゃー手間がかかりそうな」と感心するだけで終わってしまう。
まあ、日本でも、干したゼンマイを煮るのに、水から戻して灰汁抜きをしてなんてたくさんあるわけで、ちょっと前までは手がかかるのが当たり前だったのだ。

気になったのだが、キドニーパイだったかのレシピ、材料に「子牛のマメ」と書いてあったけど、「子牛の腎臓」と書いてくれないと、一瞬「猫の肉球のようなものが牛にもあったっけか?」と考えてしまうのでやめてほしい。それか注釈付けてくれればなあ。

ところで、この本を見ながら、料理を作ってみようと思う人っているのかしら。
どちらかと言うと、見て読んで楽しむ本のような気がするんだけど。

--追記--

この本の中盤の、お菓子は作ってみたい! と思った。
スフレおいしそうー、干しぶどう入りチョコレートケーキおいしそうー。
この、「甘美なる死」と付けられたどっしりしたチョコレートケーキは、「中心がまだ焼きあがっていないしっとりした状態でよい」のだそうだ。
とろりとろけて甘いのだろうか。

「ポアロのスイーツ」「ミス・マープルのティータイム」とそれぞれ分けられた章は、どうして全部のお菓子の写真が無いのぉ〜! と身悶えしそうにおいしそうだ。レシピだけじゃあ想像に限界がある。

お菓子を食べていて思うのは、いちばんおいしいのは、食べている瞬間ではなくて、ケーキを買ってから食べるまでの間とか、「あれが冷蔵庫にある」と頭のどこかで考えている時とか、デザート付きランチの、デザートを待つ間だと思う。

しかしいつも思うのだが、お菓子のレシピに良くある「卵白2個分」と言う材料、その、余った卵黄はどうすればいいのだ。
卵黄のみ2個使うお菓子も、ぜひ載せて欲しい。んで、矢印でP××を参照とか入れてくれるといいのよねえ。

ISBN:4152087811 大型本 フィリップ アッセ 早川書房 2006/12 ¥3,675

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