高山なおみさん(あえて今の雑誌風に、さんを付けてみる)の本はたぶん初めて読んだのじゃなかろうか。
この人は文章がとてもうまい。
高山なおみさんが、会いたい人のお家へ出かけて、そこでお料理を作って一緒に食べる。
それを文章に起こして、長野陽一が写真を撮っている。

雨が降る前の、湿ったような土の匂いや、桜の咲く時期の、日差しは温かいのに風は冷たくて、どこか予感をはらんだようなその匂いを、読んでいるこちらまで感じてしまうような文章を書く。
相手も、どこかで「普通一般の」人ではない。
どこか逸脱しているような(飛んでいると言うわけではなく、たぶん、世の中の波長とちょっぴりあわないのだろうと思う)世界を持っていて、それが高山なおみさんとその料理で、不思議な穏やかさを醸し出す。

借りてきた当初は、この本と私の波長が合わなくて、全然読めなかった。
目が滑っちゃって、何が書いてあるのかもよくわからなかった。
一週間くらい放置した後に読んだらすごくおもしろかった。
前にも書いたけど、テンションって大事だなと思う。

一番最後。
自分のダンナさん。
この人すごい。
料理研究家の奥さんに、「うまみがありすぎるんだよ。もっとシンプルなものでいいの。みぃ(高山なおみのニックネーム)は雑誌や写真集に載るような料理を作るのが上手なだけで、もっと料理がうまい人ってたくさんいるでしょ」(返してしまったのでこんな感じの言葉)
と、言ってのける。
そして言われた本人も、怒るでもなくそれを載せてしまう。
いい夫婦だなあと思う。
相手との関係を、慈しむように育てているのだろう。

ISBN:4795845220 単行本 長野 陽一 情報センター出版局 ¥1,575

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索