まるで出来のいいサイコホラーを読んでいるようだ。
筆者はイギリスに関する本を何冊か出し、自分の会社も持つ社長であり、押しが強く、何よりも自分の脚で立つことを是とするタイプの女性。

その筆者が、ある編集者から、「3人のスピリチュアルな力を持つ占い師に潜伏取材してほしい」と依頼される。

それから作者は、現実世界と精神世界二つの世界を行ったり来たりするようになり、そのうちスピリチュアルな占いの結果に頼らずにいられなくなる。
不安の塔は、クリスチャンである筆者にとってバベルの塔であり、夜毎窓からその不気味な姿を轟かせる象徴の塔である。

いやあ、久しぶりに、読み始めたら本を途中で置けなくなり、読み終わったら脇の下に汗をびっしょりかいていた。

「本当にスピリチュアルな世界はあるのか?」と言うことを証明した本と言うより、
「人の心をのぞきながら物事を決めようとすることへの警鐘」を書いた本ではなかろうか。
途中何度も、これはノンフィクションであると言うことを確認しながら読んでしまった。

じつは私は、非常な恐がりである。
そして結構、占いやスピリチュアルなものに対して、どこかで眉唾眉唾と思っているところもある。
テレビの星占いなんかを見ると、「ってことはなにか、12人に一人はグラタンを食うといいってことかよ、ああ?」と思ってしまう。
私なんかよりも夫の方が柔軟性があって、「そう言う世界はあるだろ、証明されてないだけで」と言うスタンスの人間で、時々びっくりさせられる。

自分にとってスピリチュアルな世界とは、半分近く、半分遠いままあってほしい世界だ。
非常な恐がりであることと関係があるのだと思う。

この本を読んだ後、本棚の片隅の、「ゴールデンドーンタロット」をふと思い出し、久しぶりにカードを切ってみようかなと思ったのだが、その瞬間、どうにもタロットに触れると言うことが恐ろしくなって、やめた。

特に力のあると言われているゴールデンドーンを今出すのはヤバいと言う気がしたのだ。

こんなことを書いておきながら、眉唾とも思うとはどう言うことかと自分でも思うが、全部受け入れてしまうことへの恐ろしさと言うか、どこかでブレーキをかけているのかもしれない。

ISBN:406213599X 単行本 井形 慶子 講談社 ¥1,575

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