深作版魔界転生

2004年12月10日 映画
窪塚洋介の天草四郎に物足りなさを感じて、ジュリー天草四郎を借りてみた。
DVDが常に借りられているので、残念ながらビデオ版。それなりに劣化した画像が何とも古くさい感じがするのだが、やはりおもしろかった。
ジュリーと真田広之のキスシーンばかりが話題になっていたような記憶があるのだが、あらためてじっくりと観てみると、とてもよく練られた脚本だったんだな、と思う。

深作版の魔界転生を流れるのは、人間の情念が深くなればなるほど、魔に見入られやすいと言うことだ。

窪塚版ではほとんど描かれなかった、登場人物の、相手に対する深い執着が、ねちっこいほどに描かれている。

言葉で言えば、執念であり、怨念であり、執着であり、人間の心の奥底に溜まるどろどろとした澱のようなもの。

天草四郎が雷とともに復活し、恨みのこもった女信者達の髪の毛をよったものを携え、それで相手をくびり殺す。
ジュリー四郎の中にあるものは恨みと呪いと執着だ。
反対に窪塚四郎にあったものは、「哀しみ」だった。神に見捨てられた哀しみ、願いの聞きとどけられなかった哀しみ、志し半ばで夭折しなければならなかった哀しみ。

ねちねちとした情念を描いた深作魔界に比べると、窪塚魔界はあっさりしている。佐藤浩市のチャンバラシーンばっかり記憶に残ってしまう。もちろん、エンターテイメント映画としてそちらの方がおもしろく、興奮する向きもいるだろう。
どちらがおもしろかったかと言えば、もちろん好みでしかないが、私は深作魔界の方が倍おもしろかった。
最後の江戸城炎上シーンも、本物の炎とCGの炎では、迫力も違う。すごいことやってたんだなあ、と、単純に感動してしまった。

ここから追記

さて、笑っちゃったところ。
柳生一族の霧丸(真田広之)が薪を背負って柳生の隠れ里を歩いているシーンが、ちょっと前に観た「ラスト・サムライ」の、トム・クルーズ演じるグレンが隠れ里に連れていかれるシーンと被って、一瞬混乱してしまった。
その上、「ラスト・サムライ」にも真田広之出てるし(笑)

DVD 東映 2002/07/21 ¥4,725

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