とは私の好きな本の中の一冊である。
作者は中島梓、グイン・サーガを書いている栗本薫の名前の方が有名かもしれない。

ネットしながら、読み込みに時間がかかってイライラするとき、本棚からひょいと一冊文庫をとって、ぱらぱらと読むことがある。

私の本棚には「読んでると何か食べたくなる本」のコーナーがあって、「くたばれグルメ」はその中の一冊だ。

今日もぱらぱらとめくりながら飛ばし読みしていた。
いやー、さすがに中島梓だね、吠えるねー、言いたい放題だね、気持ちいいね、んでもってうまそうだね、カレーパン食べたいね、などと思っていたら、ある文章に目がくぎ付けになった。

   放っとけ、どうせ三十三だよ。

えぇっ。
中島梓って、もう私よりずっとずっと年上で、だからこそこうやって吠えることが出来るんだろうな、とぼんやり思っていたのであった。
いや、買った時点ではそうだったのだ。書かれたのは1990年(文庫判)で、もう13年も前なのだもの。

……………それはともかく、おいおい、私、この中島梓よりも年上になっちゃったよ!!

いやー、何というか、今これを読んでいる私よりも年上の人間が書いた本、と思いながら読んでいたのに、私はそれを超えていて、そして私の精神年齢は確実に、このくたばれグルメを書いている時点の中島梓の精神年齢よりも下であろう、と思ったら、なんかもう、ショックでショックで、

私って成長してないのね、

と、がっくりしてしまったのだった。

本を百冊以上書き、ミュージカルを演出し、それだけでは飽き足らずに自分の作品を同人誌で出してしまうようなパワフルな有名作家と比べても仕方がないのだが、それにしても、私って一体何をしてきたんだろうと思わずにはいられない。

本であるとか、絵であるとか、仕事であるとか、なんでもいいのだが、その人の生きてきた証として、自分の歩いてきたあとに何かが点在している、というのが私の「成長」の理想であったのだが、じゃあ振り返ってみたら私はなにを残しているのか、と思うと、自分が薄っぺたい生き方しかしてこなかったのではないかという気持ちになる。

だって、絶対、私こんな三十三歳じゃなかったもん。
子育てに追われて、追われてることを理由にして、何もしてなかったもん。

いやー、ひさびさに、ガーンと来た一件でありました。
アレと似てたな。

 
高校球児が自分より年下なことに気がついた瞬間。

 
 
 
蛇足ながら、新聞広告を見ていたら、なんかの週刊誌(月刊誌だったかも)で、柳美里と並んで中島梓が叩かれていた(ようだ)が、なんでまた叩かれたんだろうか。
彼女は屁とも思わないだろうけれど。

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